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相続対策の鉄則を税理士が解説、ケース別に相続・贈与のポイントを検証

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  • 種別 レポート

【相続対策】専門の税理士が解説 生前におさえておきたい納税・遺産分割への備え

日本経営ウイル税理士法人 / 税理士  小林 幸生

税理士が解説 相続の鉄則・後悔しない想いの継承

相続税についての節税対策や遺産分割の話題について、TVやインターネットなどでも取り上げられる機会が多くなってきました。生前贈与や保険金を活用した節税対策、養子縁組みや賃貸不動産の建築・海外不動産の活用など、いまや税金や財産分割について多くの情報が溢れています。

私どもも、相続専門の税理士として、毎日のように相続・贈与についてのご相談をいただいたり、相続税のシミュレーションを行ったりしています。思いがけずに推定税額が高額となり、驚かれるケースも少なくありません。

もちろん税金の負担は重要な問題です。しかし、相続が発生したときにまず悩むのは、節税(税金をいかに少なくするか)の問題ではありません。税金が多い少ないの前に、いかに円満に財産を分割するか。分割した財産の中からいかに無理なく税金を納めることができるか。このことを事前におさえておかなければなりません。

相続対策をきちんとするということはどういうことなのか、そのポイントを考えたいと思います。

節税ありきで考えると、選択を誤ることも

節税の事例「相続税は簡単にゼロにできる」

相続税の節税対策として、例として下記のような対策が紹介されることがあります。

  • 子や孫に対する生前贈与による節税
  • 住宅取得資金、結婚資金等の非課税の活用による節税
  • 孫を養子縁組による節税
  • 借入や預貯金を基に不動産購入による節税
  • 小規模宅地等の特例適用による節税
  • 更地に賃貸建物等建設による節税
  • 回収不能な貸付債権等を整理
  • 生命保険金等の非課税枠による節税
  • 仏壇、仏具、墓地等を事前に購入

これらの対策は、確かに相続税を引き下げることには効果的です。相続税を0にすることも可能でしょう。しかし、節税・税金を引き下げることをゴールにして無理な対策をすると、選択を誤ってしまいます。例えば、1億円の相続税を0にするために、10億の借金をしてマンションを建築するなどです。

そのような事態に陥らないためには、目的と優先順位を明確にして対策を打つ必要があるのです。

生前贈与など無理な節税対策を行ったために、財産を手放す事例も!

賃貸マンションやアパート等の建設事例だけではなく、他の対策でも同じく落とし穴があります。例えば、下記のようなことが考えられます。

  • 生前贈与で相続財産(現預金)を減らしていたが、病気や介護のため思わぬ出費が必要となり、結局、親がその財産を使うことになった
  • 孫と養子縁組をしてもらったら、その後、相続人の仲が悪くなり相続の話がまとまらなくなった
  • 自宅を生前に贈与したが、子ともたち夫婦は自分たちの自宅を別に購入したため、どう処分したらいいか困っている
  • 親より先に子が亡くなった
  • 子の口座に振り込みしていたが、気がついたらかなりの財産を贈与してしまっていた

節税対策をしても、実際に相続が発生するまでの間、それぞれに生活があり、病気や介護のために思わぬ出費が必要となる可能性があります。後から予期していなかったことが生じたために、相続税の支払いに窮してしまう。結果的に相続財産を売却するなどの方法で資金を捻出せざるを得ない。そのようなことは、よくあることです。

このような事態に陥らないためには、重要ポイントを押さえて対策を打つ必要があるのです。

ここまで、「相続対策の目的と優先順位」「相続対策における重要ポイント」が重要になるということを、見てきました。では、具体的に「目的と優先順位」「重要ポイント」について見ていきましょう。

税理士の考える、相続対策の鉄則

想いの共有

まず、「目的と優先順位」です。

相続への備えで最も重要なことは、①誰が、②何を、③どのような想いで承継していくかということを親族間で共有しておくことです。

この目的が、得てして親族の中で異なることがあります。

ですので、①ご両親の想いや、②老後の生きがいは何か、③誰に相続する権利があって、④どのような財産が相続の対象になるのかなどしっかりと共有して、目的と優先順位に大きなズレがないようにすることがポイントです。

金銭的な対策をしっかりしているのに、最も重要な想いの共有ができていなかったがために、相続開始前後に親族間で争いになるということは決して珍しいことではありません。大切な家族の絆を引き継いでいくために、家族会議などを開催し、想いを共有しておくことが大切です。

想いを理解すると、相続対策の優先順位も明確になるでしょう。「名跡・祭祀・家業・家産」と言われますが、①まずは、名跡を誰が守っていくのか、②次に、祭祀を誰が取り仕切っていくのか、③そして、家業を誰が継ぐのか、④最後に、家産をどう分配するのか、という順番です。

ところで、具体的な家産の分配については、下記の3つが必要になってきます。

  1. 生活費等や認知症への対策
  2. 遺産分割対策
  3. 納税資金対策

まずは、「生活費等や認知症への対策」から解説します。

1.税金の前に、生活費等や認知症への備え

相続対策の前に、まず相続開始までに必要となる医療費や介護費用などを含めた生活費がどれくらい必要となるか、年金や保険なども含めて資産・負債をきちんと把握しておく必要があります。

人生100年時代と言われていますが、100歳まで生活しようと思えば、それなりの生活資金が必要になります。平均寿命と健康寿命(健康に活躍できる年齢)には約10年の乖離があると言われていますが、その10年間に対する備えは特に重要です。

中でも、認知症の発症リスクを考慮しておかなければなりません。また、認知症を発症すると、判断能力が著しく低下しているとされ、相続に関する法的な手続きが行えなくなる可能性があるので、それへの備えも必要です。

認知症対策として家族信託のメリットをご紹介!「家族信託で認知症対策!認知症発症後でも安心できる家族信託という選択」で詳しく解説しています。

続いて、遺産分割対策について解説します。

2. 遺産分割(財産の組み換え・遺言など)

相続が発生した場合、通常の場合は、亡くなられた方の財産を相続人が自由に処分することはできません。すべての相続人が参加し合意をする、遺産分割という手続きが必要になります。

遺産分割には、大きく分けて下記の3つの方法があると言えるでしょう。

遺産分割方法
  • 相続財産をそのまま配分する現物分割
  • 相続財産を換価(売却)した後にその売却代金を配分する換価分割
  • 特定の相続人が相続財産を取得する代わりに他の相続人に対し金銭を交付する代償分割

例えば相続財産に不動産など分割が困難な資産がある場合、分割協議が円滑に進まない可能性があります。それが原因で、相続人間で争いが生じることにもなりかねません。分割協議が整うまで相続財産が処分できなくなってしまう可能性もあります。

そこで、遺言書や民事信託契約で財産の分割方法を明確にしておくことになるわけですが、そもそも財産内容を見直し、分割しやすいように財産を組み替えていくことも、重要な対策です。

続いて、納税資金対策について解説します。

3. 納税資金(保険・生前贈与など納税資金の確保)

相続税の納税は、現金による一括納付が原則とされています。

そのため、あらかじめ相続税がどのくらいかかるのかを把握した上で、必要な納税資金を確保しておく必要があります。

効果的な対策として、下記の4つが挙げられます。

納税資金対策
  • 生命保険等の活用
  • 生前贈与の活用
  • 家族信託の活用
  • 不動産等の売却
生命保険の活用 ・生命保険の死亡保険金は、一定額までは相続税が非課税とされます。
・また、分割協議が整わない場合であっても、生命保険契約に基づきすみやかに現金で受取ることができます。
・したがって、相続税の納税資金対策として有効です。
生前贈与の活用 ・相続税の納税資金を意識して、あらかじめ現金や預金を生前贈与しておくことも有効です。
・また、暦年贈与により、相続税の税率よりも低い税率で贈与を実施することで相続税対策を行うことも可能です。
家族信託の活用 ・相続税の納税資金として生前贈与してしまうと子や孫が使ってしまわないか心配だという方には、家族信託がお勧めです。
・生前贈与と同様の効果を持たせながら、信託契約期間中は相続税の納税資金に充てるためという信託の目的に従って使用を制限することが可能となります。
不動産等の売却 ・財産の大部分が土地や建物等の不動産である場合、このままでは相続税の納税資金が準備できない可能性があります。
・不動産を事前に売却し、金融資産に替えておくことも有効です。
・不動産の売却に伴い譲渡所得への課税が発生することがあります。
・したがって、売却の時期や譲渡所得への課税額を考慮に入れた売却資産の選定が重要となります。

納税資金に困るのは、こんなケース!

前段で、納税資金対策について詳しく述べてきましたが、もう少し具体的に紹介します。

納税資金対策で困る典型的なケースは、昔からの地主さんで、不動産の多くが農地のため現金収入が少ないといったケースです。過去の相続で「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例」を適用している場合で、農地の中に生産緑地が含まれているようなケースでは特に注意が必要です。

また、それほど多く不動産を有していないから相続税は無関係だと安心している方、その不動産が思わぬ高額な評価額になることも考えられます。現時点での相続税の評価額を確認し、相続税の課税リスクが無いかあらかじめ確認しておくことをお薦めします。

その他にも、借入により収益不動産を購入している方や、不動産の多くが事業用で事業用資金を除くと自由に使える現預金が意外と少ないという方も注意が必要です。

事前に十分な対策が打たれていれば、相続税の納税資金で困ることもないのでしょうが、対策のタイミングが遅くて十分に準備ができていなかったり、事業の特質上、どうしても手元の現預金が少なくなるなどのケースでは、納税資金対策は重要なテーマです。

生前の財産組み換え(銀行預金と不動産のバランス)

国税庁の発表によれば、令和元年度の相続税における申告財産のうち約4割が土地や建物等の不動産だとされています。もし不動産の占める割合が全体の財産の4割程度であれば、納税資金に困ることは少ないかもしれません。しかし、不動産の割合が7割を超えてくると、納税資金をあらかじめ確保するため、不動産の売却をするということも必要になってくるでしょう。

相続が発生する前に不動産の一部を売却すると、当然ながら納税資金が確保できます。さらに、一部を現金化しておくことで、遺産分割対策にもなります。なにより、売り急ぐことなく売却することができれば、余裕を持って買い手を探すことができます。手元に現預金があれば、ライフプランにも余裕が出てきます。

先祖から引き継いだ不動産を売却することには抵抗があるかもしれませんが、そもそも買い手が見つからなければ売却もできません。納税資金に窮して資産の売却を余儀なくされる可能性があるのであれば、財産全体のバランスを見て、生前に売却をしてしまうことも、重要な対策だと思います。

以上、相続対策において、「目的と優先順位」「対策における重要ポイント」を見てきました。ここからは、では具体的にどのような対策が考えられるか、いくつか典型的な事例をご紹介したいと思います。

ケース別相続・贈与の事例 ポイントと注意点

一般的な生前対策事例(生前贈与・生命保険・養子縁組ほか)

相続構成図

保有財産 3億円(不動産1億円、有価証券1億円、預貯金1億円)上記の状況で、相続税対策について相談を受けました。試算したところ、現状で相続税額は約4,500万円の見込みです。

そこで、次のとおり相続対策を実施しました。

  1. 相続に備えて、長男の子2人、次男と次男の嫁、長女と長女の子(6人)に200万円ずつ5年間生前贈与を行いました(計6,000万円)。
  2. 次男と長女を受取人として各1,000万円の生命保険に加入しました(計2,000万円)。
  3. 長女の子(孫)を養子としました。
  4. 不動産について、貸し付け事業用として小規模宅地の特例を適用できるように用途の見直しましを行いました(計2,500万円の減額)。
  5. 墓地や仏具の購入で500万円支出しました。

その結果、相続税額は2,000万円弱となりました。

今回の相続対策のポイント・誰でも対応可能な相続対策である、生前贈与、生命保険の活用、小規模宅地の特例の適用及び墓地や仏具の購入などを行いました。
・その結果として、本件では相続税の負担が軽減されました。
対策にあたっての注意点・ご親族間で良く話し合い、対策を実施することが必要です。
・税負担の軽減のみを意識して対策を実施すると、母の生活資金が不足するケースや不公平感から親族間で争いになる可能性などがあります。
・あらかじめ親族間での丁寧な意思疎通が必要です。

不動産オーナーの生前対策事例(貸家建設・小規模宅地の特例ほか)

相続構成図不動産オーナー

保有財産 3億円(不動産2億円(自宅0.5億円、その他1.5億円)、預貯金1億円)

上記の状況で、相続税対策について相談を受けました。

試算したところ、現状で相続税額は約4,500万円の見込みです。そこで、次のとおり相続対策を実施しました。

  1. 自宅土地(0.5億円)について、現地確認に基づき財産評価の見直しを行いました(計1,000万円の減額)。
  2. 保有している土地(1.5億円)の上に、現金5千万円と借入金5千万円を要してアパート(固定資産税評価額7千万円)を建設し、第三者に貸し付けました。
  3. 自宅について、小規模宅地の特例を適用できるように対応しました(計3,200万円の減額)。

その結果、相続税額は2,000万円弱となりました。

今回の相続対策のポイント・不動産の評価額を算定する場合、相続を専門とする税理士に依頼することで予想していた評価額よりも低く評価できる可能性があります。
・賃貸用不動産を購入し貸し付けることで、相続財産の評価額を下げることも可能です。
対策にあたっての注意点・不動産を多く保有している場合は、将来のキャッシュフローを適切に見積もって、資金不足が生じないように計画することが重要です。
・税負担の軽減のみを意識して対策を実施すると、母の生活資金が不足するケースや不公平感から親族間で争いになる可能性などがあります。
・ 自宅について小規模宅地の特例を適用しようとする場合、配偶者以外の相続人が取得するときは、要件が厳しくなっていますので事前に要件を充たしているか確認しておくことをお薦めします。

会社経営者の生前対策事例(事業承継対策・納税猶予の特例ほか)

相続構成図会社経営者

保有財産 3億円(不動産0.5億円、預貯金0.5億円、非上場会社株式2億円)

上記の状況で、相続税対策について相談を受けました。

試算したところ、現状で相続税額は約4,500万円の見込みです。そこで、次のとおり相続対策を実施しました。

  1. 次男を事業承継者として、その後は長男の子を事業承継者として詳細な承継計画を策定しました。
  2. 会社の将来にとって重要な先行投資を行いました。
  3. 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)が適用できるように対応しました。

※非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)の適用に当たっては、当社などの詳しい専門家に相談することをお勧めします。

その結果、納付すべき相続税額は2,000万円弱となりました。

今回の相続対策のポイント・次男を後継者と決めて事業承継を行いました。
・会社の将来にとって重要な先行投資を行うことで、非上場会社の株式評価額を引き下げることができました。
・その上で、非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特別措置)を適用することで、本件では納付すべき相続税額が軽減されました。
対策にあたっての注意点・事業承継を行う上では、後継者を誰にするか、どのように社風や従業員、親密取引先等を引き継いでいくかなどは慎重に検討すべきです。
・相続財産を均等に分割できないため後継者以外の相続人から理解を得ておく必要があります。
・親族間での丁寧な意思疎通が必要です。
・非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)の適用を受ける場合には、一定期間、その要件を満たし続けなければなりません。

医師の生前対策事例(退職金・出資持分対策ほか)

相続構成図医師

保有財産 3億円(預貯金1億円、医療法人の出資金2億円)
上記の状況で、相続税対策について相談を受けました。

試算したところ、現状で相続税額は約4,500万円の見込みです。そこで、次のとおり相続対策を実施しました。 

  1. 適切な金額の範囲内で役員報酬や退職金の額を増額しました。
  2. 医療法人を計画的に出資持分のない医療法人に移行しました。
  3. 出資持ち分放棄するにあたり、認定医療法人制度を利用し、課税が生じないように対応しました。

※認定医療法人制度の利用に当たっては、当社などの詳しい専門家に相談することをお勧めします。

その結果、納付すべき相続税額は500万円弱となりました。

今回の相続対策のポイント・医療法人の経営について、現在の経営体制を維持したまま将来出資金の払い戻しや相続税等の負担が過大になることを抑制するため、出資持ち分なしの法人に移行することを選択しました。
対策にあたっての注意点・役員に対する報酬等が不当に高額にならないような支給基準を定めているなど法人関係者に対し特別の利益の供与がないようにしなければなりません。
・認定医療法人の要件を充たした運営組織にする必要がありますし、その要件を一定期間満たし続けなければなりません。
・出資持分の払戻請求権がなくなるため剰余金の分配や残余財産分配はできなくなくなることに留意が必要です。

相続税・贈与税に詳しい税理士探しと相談のタイミング

相続・贈与の専門家・税理士

今回ご紹介した事例を見ても分かるとおり、相続対策は千差万別です。相続人や相続財産、そして何より、皆さまの「想い」によって変わってきます。そのような対策をご支援する相続の専門家としては、一般的に、税理士、弁護士、司法書士、行政書士、あるいは銀行のご担当者などが挙げられます。

それぞれの専門領域は異なります。例えば同じ税理士の中でも、相続を専門とする税理士と、相続意外を専門とされている税理士があります。どの業界においても言えることですが、誰に頼んだらいいのか、大変に悩むところです。

そもそも、税理士に専門家に相談しなければならないのか。そのような疑問を持たれる方もあるかもしれません。

私は、ご家族でされて問題なく円満に相続・贈与が進むのであれば、ご家族でされるべきだと思います。第三者が良かれと思ってしたアドバイスが、余計な争いを生んでしまうということも少なくないと思うからです。

繰り返しになりますが、税理士が関わらせて頂く意味は、いかに相続税を少なくするかということではありません。いかに円満に相続できるか。納税資金に困らずに手続きを終えられるか。これまでの経験から、目利きと専門的な選択肢とをご提示できると考えるからです。

ですので、せっかく専門家にご依頼されるのであれば、相続・贈与に詳しい、日々対応している税理士に依頼しなければ意味がないと思います。では、相続・贈与に詳しい税理士とはどのような税理士かと言うと、知識や実績はもちろんですが、私は次のようなことをわきまえて、努力してくれるかどうかがポイントだと考えます。

相続について税理士に相談は必要なのか、相続対策について税理士に相談するメリットや税理士の選び方など詳しい解説は「相続に強い税理士の選び方とは?相談するメリットや選び方の注意点」でご紹介しています。

話し合いをスムーズに進めてくれる税理士か

相続の話になると、親族では、得てして、話し合いのきっかけが作れない、話が進みにくいということになりがちです。思い入れが強い方がいれば、お互いにここは譲れないという部分も出てくるでしょう。そのような場合、話し合いがスムーズに進むように進行してくれる専門家がいると、やはり安心して任せることができます。話を円満にまとめようとしてくれる税理士なのかどうかは、重要なポイントだと思います。

堅実なプランが作成できる税理士か

相続対策を検討する上で、将来のリスクも考慮したライフプランは欠かせません。例えば、収益マンションは最初の5年10年は収支が回るものですが、20年30年経過したときに収支が回るのかきちんとリスクを織り込んで説明してくれるかどうかが重要です。よい場合と悪い場合を想定して、きちんと説明してくれる専門家かどうかが、重要なポイントだと思います。

専門的なネットワークがある税理士か

相続対策は税法だけでは完結しないので、さまざまな専門家と連携して対策を打つ必要があります。したがってほとんどの税理士は、専門家同士のネットワークを持っているものです。その方が何を得意としているのか、得意でないものはどのように連携してサポートしてくれるのかをきちんと説明してくれる税理士かどうかも、重要なポイントだと思います。

たくさんの引き出しを持っている税理士か

相続税の申告は、税理士によって税額が変わるとも例えられます。不動産の評価一つをとっても、判断が非常に難しいケースが少なくありません。たくさんの引き出しを持っていれば、そのぶん対策もいろいろと提案してもらえるはずです。

相続対策のタイミング

今回は、相続対策全般についてご紹介してきました。

相続対策とは、引き継がせる側と引き継ぐ側の人生設計、希望などを共有して、できるだけ親族全員が納得できるように、専門家も交えて一生懸命に考えることです。

そして当然ながら、出来るだけ早い時期から取り組んだほうが、選択肢は多くなり、効果も大きくなります。ですので私は、セカンドライフが開始される60代から対策に取り掛かることをお勧めしています。

その意味では、相続対策について考えることは、これからの人生を如何に有意義なものにするか、第二の人生設計を考える大きな機会、元気なうちに考えることが重要となります。

上記に上げました事例の他にも、様々なご相談に対応しております。ご興味がある方は、ぜひお問合せください。

このレポートの解説者

小林 幸生(こばやし さちお)
日本経営ウィル税理士法人 税理士

1990年 国税局入局 国税庁、国税局、税務署勤務
2019年 税理士登録
2019年 日本経営ウィル税理士法人 入社
現在 日本経営ウィル税理士法人 大阪梅田事務所勤務
税務署にて、資産課税部門で統括官等を経験。国税局にて、資産課税課で税務調査、税務調査の指導及び税務調査に関する法令審理事務に従事。
国税庁にて、資産課税課で相続税に関する通達作成、審理、公益法人等に対する寄附に係る審理事務に従事。
相続税などの財産に関する税金について、幅広い知識と実務的な判断の経験を持つ。

本稿は掲載時点の情報に基づき、一般的なコメントを述べたものです。実際の経営の判断は個別具体的に検討する必要がありますので、専門家にご相談の上ご判断ください。本稿をもとに意思決定され、直接又は間接に損害を蒙られたとしても、一切の責任は負いかねます。

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